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05|FULLING KNIT

10月13日
読了時間: 4分

更新日:10月15日


ニットのお話をしようかな、と。


前回はAW26のテーマである「WHERE HONESTY」について書きました。

滲む誠実さとはなんだろうか。


好きな子にちょっかいを出してしまうような、少し幼くて、素直とは言い難い行動。

けれど、その裏側には、むしろ隠しきれない気持ちが表れているのかもしれない。



そんなことを考えながら、今回のコレクションを制作しました。




今回紹介するのは、Fulling Knitシリーズです。





まずは柄のお話から。



今回のチェック柄には、社会的な権威に対する問いを込めています。




あまり大きな声で言うことでもないのですが、デザインの背景には、国際的な情勢へ感じていた不安がありました。

社会の中で強い影響力を持つ人や、正しさを象徴するような形式。


そうしたものは、いつも整然としていて、揺るぎないものとして見せられます。



でも、本当にそうなのだろうか。



権威があることと、正しいことは同じなのか。整っていることと、誠実であることは同じなのか。


そんな疑問から、規則的なチェック柄を少しずつ歪ませていきました。





チェック柄は、縦と横の線が一定のルールで交差することで成立しています。その規則性が崩れたとき、見慣れた柄は少し違った表情を見せ始めます。


今回のチェックは、権威の象徴が歪んでいく過程を表現したものです。








そして、もうひとつ。



このニットには、歪なボタンを取り入れています。

その着想のひとつになったのが、トランプ氏が暗殺未遂に遭った出来事でした。



引用:Republican presidential candidate former President Donald Trump is helped off the stage at a campaign event in Butler, Pa., on Saturday, July 13, 2024.

AP Photo/Gene J. Puskar



政治的な出来事をそのまま服に描くのではなく、そこから受けた印象を、ボタンという小さなパーツの形に置き換える。

整った形から少し外れた、不均衡なボタン。


チェック柄と同じように、ここにも、当たり前とされている形や秩序に対する違和感を込めています。


もちろん、服を着る人がこうした背景を知らなくてもいいと思っています。



ただ、何気なく見ていたディテールに、実は別の意味が潜んでいる。

そんな服のあり方もファッションのひとつですし、このARTICLESではデザイナーである僕が責任を持って語っていくことが面白いのではないかと思っています。


素材には、キッドモヘアをブレンドしたオリジナルの編み地を使用しています。

編み上げた後に縮絨加工を施すことで、繊維を絡ませ、柔らかさと奥行きのある表情を生み出しています。



素材そのものの風合いだけでなく、加工によって編み地の表情を変えることも、

今回のデザインを構成する大切な要素です。





そして、このニットポロはリバーシブル仕様になっています。








これも、単に一着で二通りの着方ができるようにしたかった、という話ではありません。



前回の記事で書いた「裏返った行動に潜む誠実さ」という考え方が、ここにもつながっています。



服には表と裏があります。



表に見せることを前提に整えられた面と、普段は人の目に触れない面。


僕たちは、いつの間にか表側を正面として捉え、裏側を隠すものとして扱っています。

でも、裏側にあるものは、本当に隠すべきものなのだろうか。

表からは見えない部分にこそ、その人らしさや、誠実さが滲むこともあるのではないかと思います。



だから今回は、表と裏のどちらも成立するニットを作りました。


ひっくり返すことで、柄の見え方や色の印象が変わる。


どちらかが正解で、どちらかが間違いというわけではない。







その日の気分や合わせる服によって、見せる面を選んでもらえたらと思います。

社会的な権威を象徴する柄を歪ませること。整った形から外れたボタンをつけること。

そして、表と裏のどちらも着られるようにすること。




一見すると、それぞれ違うデザインの話です。




けれど、僕の中では、どれも「当たり前とされているものを、そのまま受け入れていいのだろうか」という問いにつながっています。



何が正しくて、何が間違いなのか。何を表に見せて、何を裏に隠すのか。

その境界は、思っているほど明確ではないのかもしれません。



同じシリーズでは、ニットスカーフも制作しました。




ポロとは違い、巻き方によって柄の見える面積や表情が変わるアイテムです。



デザインに込めた意図を知ってから着るのもいいし、何も知らずに、ただ気に入ったから着るのもいい。



僕が服に込めた考えと、着る人がその服から感じることは、必ずしも同じでなくていいと思っています。



むしろ、その間に少しのズレや誤解が生まれることも、服の面白さなのかもしれません。

AW26 Fulling Knitシリーズ。



表と裏を入れ替えながら、自由に楽しんでいただけたらと思います。




ありがたい事にすでに完売している店舗もありますが、以下店舗にてお取り扱いがございます。



ISHIKAWA Transistor​

​KIYOSUMI SHIRAKAWA see you later

CHIBA iii3

NAGANO HOWDAY

OSAKA sign

EHIME soon








Thank you.




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